大田は興奮したような言葉で

「美果が小杉先輩の家に

遊びに行ったとき、やられ

たんだって、それで妊娠して

先輩に告げた途端

先輩が

冷たくなり

どうしようもなくなり

美果が渋谷で

MDMA買って

ラリッテいるとき補導され

妊娠のことが親に知れ

去年の冬休みに
 
  おろしたんだって」

グループの仲間は人の噂や
悪口は言わない。

暗黙のルールがあるが、
小学生からの友を気遣って大田は
衛に伝えた。

大田の言ったことは
間違いない。
嘘を言うような男でない。

衛はそのことを
聞いたとき

小杉先輩に対して
憎悪を感じ
今、傍にいれば
殺してるかも
知れない気持ちになり、

美果が可哀想になり
自分の心の中奥深くに
たった1日で
美果が入り込んで
いることが良くわかった。

大田が

「本当はお前の恋だから

言わない方がいいんだが

周りの奴らがお前を

中古車(美果)が好き

なんだとか美果なら

落ちた女だから

すぐにやらしてもらえる

から付き合っている

なんて言ってるのが

悔しくてな」

衛は・・・

「ありがとうな」

と答えてそんな風に
美果が言われているのが
哀れに思い目頭が
熱くなり大田から
顔をそむけた。