不思議な顔をしている
千裟をみて

「かずちゃんが眠れない原因が

　俺の責任だって？」

千裟が軽くうなずく

「心配掛けてごめん」

「もう・・」

千裟は衛の
次の言葉をさえぎる様に

「なにも！心配していないよ」

と強がった。本当は真実を
知ることが怖かった。

「学校どう？早い帰えりね!

部活どうしたの」

「部活は当分休むつもり」

「私のことなら、心配しないで

　部活続けてよ」

多分、千裟が気を使って
そう言うと思い！

「右腕がね、少し痛いんだ」

衛はそう嘘を言った。
心配した千裟が衛の腕に
触れた。

「わっ！冷たい」

「ごめん、血行が悪い

　　から手が冷たいの」

本当に冷たかった。

千裟の手に触るのは
初めてではない。

手の冷たさから病気の
重さが判った。

衛も千裟を気遣い

「冷たいけど気持ちいい！」

と笑って応えた。

午後の回診が始まり
主治医の佐々木先生が
千裟の病室へやってきた。

「昨晩も寝てないんだって

　少しは寝ないと」

千裟の足のむくみを診て

「むくみは大分良くなりましたね

　眠れるお薬出して置きますから

　寝る前に飲んでください」

その言葉を言って病室を出て行った。

衛は慌てて主治医の佐々木先生を
追いかけて病室を出って行った。