玄関先の照明に照らされた海斗の表情は、いつになく面倒くさそうで眉間に皺ができていた。


『アハハ…、そうだよね…』

そう肩を落とし、なんとか引き止めようとしたあたしは、思いついたかのようにすかさず口を開く。


『あっ!冬休みの宿題、…やった?』

下手な演技にひっかかる海斗じゃないのはわかっていたけど。

『チビには関係ないだろ』

『アハハ…、やっぱそうだよね』

しゅんと小さくなったあたしには気にも留めず、海斗は家の中へと消えて行く。


はぁー…。…なんでいつも、ああなるんだろ。

いや、あたしの聞き方の問題かもしれないけど、それにしても愛想がなさ過ぎ。


なんであんなヤツのこと、気になんだろうなあ。あたし。


やんなっちゃうほんと。



ほんの数ヶ月前のことを思い出すと、落ち込むあたしの顔が窓に映った。

暖まってきた部屋の中、溜め息を吐けば、覗いていた窓ガラスは静かに曇る。


ダメダメ!

こんなんじゃダメだ!よし、笑おう。



なんて、作り笑顔もどこか寂しくまた息を吐き出して、カーテンを閉め部屋の明かりを点ける。