「それで、誤解されたままなわけか」

「だって…、言えなかったんだもん」

「勢いで言えばよかったのに。だけど、デートじゃなくてよかったな」

「全然喜べないよ、それ」

体育座りをして顔を膝に埋めた。


あたしはあのあと、結局最後の授業が終わるまで保健室で寝て、ぐっすり眠って元気になったその足で、トモくんの家へ訪れていた。

慰め役のトモくんは大変そう。他人事のように同情してしまいたくなるくらい。

その原因を作っているのは、あたしなんだけど。


「だから、もう告っちゃえばいいのに」

「そんなのできるわけないじゃん…」

トモくんは簡単に言うけど、“好き”なんてとてもじゃないけど言えない。


あたしと海斗なら言ったところで、ぎくしゃくして気まずいなんてこともないよ?

もともとぎくしゃくしてんだし、それどころか関係ないんだから。


ないけど!改めて気づいたばっかりの好きって気持ちなんだもん。

…言えるわけないじゃん。