「な…、なんで!?」

「うるさい、チビ」

思わず出てしまった大声に、カーテンの向こうから静かに通り抜けてきた声は、いつもと変わらなかった。


どうやら海斗も仮眠しにきたみたいで、また静かになった保健室には不思議な緊張感だけが漂っている。

なんで海斗がいるの!?今一番顔を見たくないっていうのに。

眠れなかった原因の、張本人がカーテンを挟んで隣にいるなんて…。


眠れるわけないじゃん!


「はぁ…」

諦めて再び枕に頭を乗せ、均等に貼られた天井のタイルを眺めるあたし。


あたしと海斗は、幼なじみでいう定番のよく聞く、幼い頃結婚の約束をしたとか、親同士が決めているような“あるある”な幼なじみの関係じゃなくて、普通の友達のような幼なじみ。

周りから公認の仲だと思われたことも、冷かされたこともなければ噂されたこともない。