「どうしたの青海?朝から元気なくない?」

机に頬杖ついてぼーっとしていると、友達があたしを見下ろしている。


「んー、ちょっと寝不足」

そっけなく返し、あたしはまた焦点が定まらない目を伏せる。


昨日。あれから帰ったあと、何百匹の羊を数えあげ、時計の針の音が耳に残るくらい眠れずにいた。

もう何時間目なのかわからない授業を、ただぼんやり聞いているだけ。いや、聞いてさえもいない状態。


「ダメだー、ちょっと保健室行ってくる」

そう言って立ち上がったあたしに、友達の驚いた顔が映し出された。


「え、今から?これから給食じゃん」

「いらなーい…」

背を向けると、騒がしい教室を後にする。


とりあえず、4時間目が終わって給食の時間なんだっていうことがわかった。

手洗い場は相変わらず混み合っていて、何重にもなって列ができている。

立ち塞がる人の壁を擦り抜けて1階の保健室へと階段を下りた。