その顔は、“チビだから中学生には見えない”と言いたげで、隣に並べば何度となく、あたしはトモくんの妹扱いをされてきた。

少女愛好家って…。変な言い方しなくてもいいじゃない。

そもそも、トモくんには彼女がいる。


恨めしそうに海斗を見据える。


「なんだよ?」

「…なんでもない」

ちろっとこちらを見下ろす海斗に、あたしは首を振った。言えるわけがない。こうなったのはあたしの暴言のせい。


一気に勢いが消えたあたしの頭をぽんぽんと、トモくんの大きな手の平が包み込む。

見上げれば、気にするなと微笑んでいるかのようだった。


誤解を解くこともせず、深く追及することもなく。

特別話すこともないあたしたち3人は、同じ車両に乗り込み同じ帰り道を、ひたすら無言を貫き通した。