「へぇー、結構かわいいじゃん」

切符を手に戻ってきて呟いたトモくんを睨みつつ、急いで改札を抜け海斗がいるホームにたどり着く。


「…ほんとにデートだったんだな」

呆れた様子の海斗があたしたちに気づき近づいてきた。


「…海斗こそ、デートだったんじゃない」

振り絞って出てきた台詞は皮肉たっぷりで。


「関係ないだろ」

言い返された台詞もいつものように冷たくて。


「あたしたちのことだって海斗に関係ないもん。毎日毎日ここまでデートに来るなんて、ほんとご苦労様」

売り言葉に買い言葉なんてかわいいものじゃない。


「ま、関係ないけど。だけど知らなかった、トモ兄が少女愛好家だったって」

最後に、憎たらしさ倍増するかのように鼻で笑う。