両手でも足りない

そう言う海斗は、きっとこの10段も楽に跳び越えてしまうんだろうな。

そう思ったら無性に悔しくなった。


海斗に言われた通り、力入れないで軽く。それだけ考えて跳んだ結果だった。

けど、なんか釈然としない。


あの上から目線といい、あの言い方といい。


気に入らない。


それなのに、ものすごーく気になる存在なんだから、ほんと。

気持ちがついていかない。


ちょっとだけ、海斗にドキドキしてるのも意味わかんない。


もしかして。

あたし海斗に…。


「振り回されてない?」


海斗はあたしを、おちょくるのも踊らすのも、おもちゃにするのだってもちろん、振り回すのは得意中の得意だ。

へっちゃらな顔でするのは大得意。


子供の時から距離が近すぎたゆえに、お互い知り過ぎていて、でも今は手の届かない場所にいる。

そんな感じ。