拍手の中、道場を出ていく後藤を見てすぐに道場の出口に向かって走った。 どうしても、どうしても。後藤に伝えたいことがあって。 「後藤!」 「…、佐藤!」 後藤は走ってきたあたしを見て少しびっくりした様子を見せた。 「あの、皆中おめでとう」 「おお。サンキュ」 おめでとうももちろん言いたかったけど本当に言いたいのはこんなことじゃない。言いたいのに、言いたいはずなのに、その言葉はなかなか声に出てくれなかった。