MATO






教室に戻るとマリナがニヤニヤした顔であたしの席に座って待っていた。


「どうなった?」

「…………………。」

「…美砂?」

「どうしよう、マリナ」

「何が?」

「金田に何て言い訳しよう」

「は?」





今、金田は後藤よりも焦っている。

何故かというと、今大会の後藤の成績で金田の人生を大きく左右するから。

後藤は全国大会の優勝候補の一人だ。他の人なら何の問題もないけど、そんな優勝候補が万が一でも予選敗退になんてなったらとんでもない。責任を被るのは金田だ。教師をクビになる。そして理事長や校長がもっと良いコーチを探してくるだろう。

ここは文武両道をモットーとする私立校。そんな事例が過去に他の部活で何度かあったらしく金田が相当びびっているのも頷ける。