MATO



「第一立、お疲れ~」

「あ、……うん」


あたしより先に観客席から控え室に戻ってたらしいゆかりはいつもと変わらない様子でそう言った。


「皆中おめでと!次も頑張ってね~」

「…ありがと」



ゆかりは何も言わなかった。さっきのあたしの射を見ても、何も言わない。
「どうしたの」とも「何やってんの」とも「ちゃんとしろ」とも言わない。

でも、ゆかりが試合で皆中した時や調子いい時によく言う「いつも通りだね」は言わなかった。



それが、何も言わないけど少しあたしを責めているように感じた。