MATO



馬鹿みたいに無心になってたあたしが我に返ったのは拍手が沸き起こった時。


鑑的を見るとあたしの列は4つとも全て丸が付いていた。
それを確認して会場を出た。

ゆかりが慌てて走って駆け寄ってくるかと思ってたけど、ゆかりの姿はない。
金田先生も眉間に皺を寄せて何か言ってくると思った。でも何も言ってこない。


後藤は… わからない。

でも確実に良くは思ってない。


何て思っただろう。
呆れた?
幻滅したかも。
「もうあんなやつ好きじゃない」とか思ったかな。
同じ学校として恥ずかしいとか思ったかな。


あぁ…もう、…いいや。…何でもいい。
それを覚悟して選んだんだ。



唇を噛み締めて控え室に戻った。