MATO



「ちょ、美砂…泣いてる?」

「え……」



気がついたら涙が出ていて。



何に泣いているか、自分にもわからなくて


「…ゆかり、後藤の立(試合)見てて」

「わかった…。一人で大丈夫?」

「うん」



後藤に知られる前に後藤から離れたかった。





これ以上泣いちゃダメ

歩きながら深く深呼吸を繰り返す。



覚悟なら、もうある。

取り乱したらその覚悟も意味を成さない。


大丈夫。


目を錘って空を見上げた。


大丈夫。


こうしていても空は明るいはずだから。