MATO




「あと40分で開会式だから、それまで道場で引いていいって」


補助員ユカリが配布された資料を見ながら言う。



「あたし何立ち目(試合の順番)?」

「待って、んーとね12立ち目。後藤くん2立ち目だから開会式終わったらすぐ道場裏で控え準備ね」

「わかった」

「ありがとう」





試合は男子から始まり、女子が続く。
地区大会ではなく大きな大会に行くと知り合いもあまりいないし待ち時間が長いから退屈している人も多い。
巻き藁練習や素引きをしてもいいけど、試合前にあまりやり過ぎるのも意味がない。
だから基本同じ学校の選手や補助員と話したりして時間を潰している。



張り詰めた開会式が終わると後藤はいつもの爽やかな笑顔を残して道場に向かった。
後藤の応援のためにユカリと観客席に行く。




審判が片手を挙げた。そして「始め」の声で一立ち目の人たちの射が始まる。


そして、その声と共に

始まる。

あたしの戦い。