MATO


「佐藤ー、帰ろう」

「あ、後藤ごめん。今日は先帰って」


付き合ってからはいつも一緒に帰ってた後藤の誘いを断る。

今日一日、後藤の顔が見れなかった。

後藤も、それに気付いているはずなのに何も言ってこない。
わかってる。
あたしから話してくれるのを待っている。

だけど、信じると信じれると思いを決めたのに。それなのに、
後藤を見ると揺らいでしまう。
どうしても疑ってしまう。
責めそうになる。


明日が関東大会でよかったと思う。
そのおかげで練習に託けて後藤と絡まなくても誰も不思議に思わない。