MATO



それなのに声が出なかったのは…

本気で否定ができなかったから。
本気で後藤を信じれなかったから。

心の中で後藤に対して不信感を抱いてしまったから。



「美砂?授業終わったけど」


マリナの声で我に帰る。
授業中ずっと考えごとをしていたみたいだ。


「どうかしたの?ノート全然とってないじゃん」

「あ…」


新しく開いたページは真っ白で何も書いていない。


「マリナ、ごめんノート見せて?」

「それはいいけど…」


マリナがあたしを見つめる。


「また湯川に何か言われたの?」


マリナの怒りのボルテージが上がるのが目に見えた。