目を反らそうと思えば出来たのにそれは出来なかった。後藤の目はあたしの目をじっと見ていて何かに捕らえられたような感覚がする
「後藤ってさ」
言葉を発しにくい空気の中、その空気に耐え切れなくて苦し紛れに言った
「なに?」
「…馬鹿だよね」
「え?」
「馬鹿だよ、…本当に」
「な、なんで」
「こんな女が好き?馬鹿以外の何もないと思うよ。馬鹿」
自分で言って少し虚しくなったけど、これは事実だ。弓道が出来てかわいい女子なんて探せばたくさんいるのに
「あたしの射が綺麗?後藤の射だって他に引けを取らないくらい綺麗なのに」
「…そ、そう?」
「自覚なし?それとも謙遜してるだけ?」
あはは、と笑うと後藤は少し困ってた
そりゃそうか。

