ManyLove




『さて、本校には寮が3つあるのを、皆さんはご存知ですよね?昨年の夏の説明会の時に、説明しました。ある人は知らなかったようですが』



ムッ。

まさか“ある人”ってあたしじゃないでしょうね。

再び腹が立ってきたあたし。

頬が膨らむ。



『それはさて置き、その3つ目の寮に住む事が出来る条件。それはお教え出来ませんが、本校が出来てから約20年間、その条件に合ったお方はいませんでした。ですが今年、約20年ぶりに選ばれた人がいます。その方を、今、発表したいと思います』



騒がしくなる会場。

だけど、それは女子限定。

男子は特にリアクションがない。

なんで?

「誰だろう。まさか、あたくし!?」

「いえ、私よ」

「いいや、あたしでしょッ」

周りのお嬢様が騒いでいる。

何が起こってるの!?

そんなに凄い事なの?

状況が把握できない。

なんか、今日はこんな事多いな。

頭が付いていかない・・・。



『皆さん、静粛に!!発表ができません』



アイツの言葉が会場に響く。

それを聞いた女子達は、何もなかったかのように、静かに期待をしてステージに目を向けた。

アイツは確認するように会場を見渡すと、もう2人をステージに呼んだ。

ステージ上には、変なヤツと純日本人とお人形が並ぶ。