ManyLove



頑として動かないあたしに、2人は面白がっている。

2人は、ね。

もう1人はと言うと・・・



「意味分からねぇんだけど。早くこっち来いって言ってんの」


言わなくても、誰か、どんな状況か分かる。

アイツ、そんな顔されると、余計に行けなくなるのが分かってるのかな?

後の2人は分かってるらしい。

まあまあ、と宥めている。



「そんな事言わない。怖がっちゃってるじゃん」



ここでもまた純日本人。

変なヤツを注意。

そう、そう。

ソイツ最初から口悪すぎッ

注意だけじゃ足りないよ!!

ほら、眉間にシワなんか寄せてる。



「はぁ?だってアイツが来ねぇのが悪いんだろ?」



プッチーン・・・。

あたしの中で何かが切れた。



「何よ、その態度!!初めから・・・口悪すぎ!!もういい。あたし戻る!!!!」



「「え?」」



回れ右、

と同時に歩き出す。

コツコツと革靴の音が静かに響く。

今のあたしとは対照的な軽い音。

軽い音より、低く、地が鳴るような音があたしには似合う。

絶対にアイツだけは許さない!!