姫密桜

貴方は私を抱き寄せて
耳元で囁いた。

「何もなくていい
 
 サクラだけでいい
 
 俺の傍に居て」

私は、大きく頷いた。

「そばにいるよ
  
 マキ、うれしい?」

今度は、槇が頷いた。

とりあえず、このままの姿で
私達は手を繋いで電車に
乗り込んだ。

私達の愛は、この街では
育んではいけない事を
私達は知ってる。

大好きな街だから離れたく
ないけど、その想いよりも

守りたいもの

守らなきゃならないものがある