姫密桜

シーツに染み込む涙のあとに
指先で触れるとそこには
小さな湖みたいな形が浮かぶ

槇・・・

あなたが恋しい・・・

桜の部屋のドアは閉まり
明かりが消えた。

私は、槇とのすれ違いの日々が
たまらなく寂しくて、気分を
紛らわせる為に、なるべく外へ
外へと出掛けて行った。

今日も、これからお出かけ。

出掛ける用意を済ませ
リビングで鞄の中身を出し
入れ替える私に母は問う。

「サクラ、あなた
 今日も出掛けるの?」

「うん、友達が近くに来てる
 って、会いに行ってくる」

「昨日と同じ友達
 サエグサさん?」

「ううん、違う
 今日は、ワカ」

「ワカちゃんって確か
 彼氏のいる子でしょう?
 あなた、邪魔しちゃだめよ」

「いいの、ワカの彼氏と私
 友達だもん」