姫密桜

部屋まで、この私を抱き上げて
槇が運んでくれたことを、翌朝
母から聞いて、私は驚き
そして、ダイエットを途中で
放棄した自分を攻めた。

その日の、お昼

バイト先へ向かう槇は
上着を纏う。

「お兄ちゃん、今日も
 バイトなの?」

「ああ、シフト変更
 
 そうだ、サクラ
 俺の帰りを待たなくて
 いいからな
 
 あんなところで寝て
 お前、風邪引くぞ」

「・・・うん

 昨夜は、ごめん
 重かったでしょう?」

「ああ、重い重い
 腰が痛い・・・
  
 なんて、嘘だよ
 お前、もっと飯食え
 
 じゃあ、行ってくる」