姫密桜

「・・・
 母は、家庭を捨てて
 自分だけを愛してくれる
 男と蒸発
 
 母に捨てられた弟は
 心に闇を抱え

 残された父は絶望した」

「そんな・・・」

これが、彼女の苦しみ。

『マキ、助けて・・・』

壊れた家庭で生きなきゃ
いけない彼女は、槇に
あの日、助けを求めた。

「初めて見た、マキの微笑み
 私だけに向けられた父の
 ように温かい微笑に
 私は、彼なら助けてくれる
 そう、思ったの

 彼は、ただ妹にするように
 私に微笑みかけただけ
 なのに・・・」