姫密桜

槇が、那智が、折口さんが
先生が、全生徒が、私達に
注目する。

「ねえ、本当に
 もう無理なの?

 好きなのに
 諦めちゃ駄目だよ」

「もう、ムリ・・・」

頬を伝う、涙・・・

私を抱きしめる、三枝さん。

「そっか、ごめん」

私の背を優しく摩る
和歌子の手の温もりを
感じながら

華奢な彼女の腕の中
私は、頭を左右に振る。

すると、彼女の肩に
零れ落ちる一粒の涙。