姫密桜

「だけど、今は違う
 
 オリグチさん、姉である
 彼女が貴方をどれほど好きか
 私は間近で見て知っている
 くせに

 貴方を独り占めする事は
 できない」

「独り占め?

 サクラ
 何、言ってる」

「彼女と付き合う事を決めて
 いたマキの前で、妹である事
 を捨てた私は、泣いて縋って
 全てを曝け出して、貴方を
 マキを自分のものにした

 彼女から奪った・・・」

「それは、違う
 俺は、お前に告白される
 以前から、サクラ
 お前のことが好きだった」

『好きだった』

槇の想いに、震える私の胸。

「違わないよ

 奪った事に代わりはない

 彼女を悲しみのどん底に
 突き落とし、彼女の心を
 壊れるほど、深く傷つけた
 ・・・・・」