姫密桜

だめ、だめだよ、サクラ
泣かないって決めたでしょう

「覚えてるよ・・・
 
 でも、私・・・
 あの約束を、守れない」

私の両目から涙がポタッと
落ちた。

「サクラ、お前
 やっぱり、オリグチとの事
 気にしてるのか?

 異母姉妹だから・・・」

私は、頷いた。

「マキ・・・
 あの時とは、事情が
 変わったんだよ

 あの時は、オリグチさんの
 気持ちなんてこれっぽっちも
 私、考えなかった

 ただ、お父さんに許されるか
 どうか・・・その一点だけで
 許されなくてもマキ、貴方と
 進む道を私は選んだ」

「だったら、サクラ・・・」