姫密桜

「マキだって、バイト代
 貯めてたじゃない」

「ああ、やめたら
 全部無くなった・・・
 何に使ったんだろう?
 思い出せない

 アニキに借りた金で
 お前とこうしてるなんて
 俺、情けねえな

 これじゃあ、あの家から
 お前を連れ去ることも
 できない・・・」

槇の言葉を聞いて痛む
私の胸。
 
「そうだ、明日からまた
 バイト探すわ
 もう、勉強する必要
 ないしな
 
 二人の未来の為に
 俺、がんばるわ」

何も言えない。

でも、言わなきゃいけない。

胸が痛い。

できれば、もう少し後で
もう少し、二人の時を過ごして
から、貴方に伝えたかった。