姫密桜

「サクラ、俺の話
 聞いてる?」

「いた、あそこ
 マキ、見える?
 あそこ、水の中」

「見えるよ、サクラ

 サクラ?」

「うん?」

辺りには、誰もいない。

槇と私・・・二人だけ。

この場所は、死角。

槇の手が私の頬に触れる。

「マキ?」

「しっ」

貴方は唇に人差し指を立てた

そして、見上げる私の唇に
貴方の唇が触れた。

一瞬のキス。

夢のような甘いひととき。

照れながら微笑み合う、二人。

槇と二人きり・・・