姫密桜

「私も、カイちゃんも
 好きじゃないよ
 
 ただ、誰かさんが怖がって
 泣くのが見たいだけだもん」

槇を見つめて、悪戯に微笑む私
 
「サクラ、お前
 言っとくけど、俺は
 泣いたことはないぞ」

「腰、抜かしたくせに」

クスクスと笑う私。

「うるせえよ、お前だって
 クルクル回るやつ 
 吐くじゃん」

「吐いてないよ
 
 それより、マキ
 クルクルって
 もう一回言って?

 何か、可愛い」

「言うかよ」

笑い合う二人・・・

「じゃあ、どうする
 動物園は?」

「決まり、行こう」

貴方が差し出す手に触れる。

あっ、今日の槇も私と
同じモノトーンの装い。