姫密桜

貴方は、話しながら振り返る

「サクラ、おせえ・・・」

貴方は、私の姿を見つめて
黙ったまま何かを考えている

「ごめん、思ったより
 時間かかっちゃったぁ
 
 マキ・・・?」

驚く私をよそに、槇は
私を抱きしめる腕を強める。

貴方に抱きしめられて
私、身動きひとつ取れない。

「マキ、人が見てる
 
 ねえ
 恥ずかしいよ」

私の耳元、貴方の低い声が
聞こえた。

「サクラ、すげえ可愛い」

「本当

 おかしくない?」

「ああ、似合ってる」

そう言って、貴方は微笑む。

私の大好きな口角を上げる
微笑み・・・