姫密桜

お父さんの言葉に
涙が流れた。

「サクラの父親は誰でもない
 この私、ただ一人
 それでいいじゃないか」

父の声が泣いてるような
気がした。

「あなた、ありがとう・・・
 ありがとうございます

 でも、私達が真実を隠し
 このまま、サクラに何も
 話さなくても、サクラは
 いづれ知ってしまうわ」

「どうして、そう言える?」

「彼と話していた時、偶然
 その場に、彼の娘
 アズサさんが居たの

 彼女は全てを知ってしまった

 サクラと母が異なる姉妹で
 ある事実を・・・」

「そんな・・・」

母の、今の言葉・・・

やっぱり、折口さんの話は
本当の事だったんだ・・・