姫密桜

開かれた扉から洩れるのは
両親の言い合う声。

閉まるドアの音にも気づかず
に話をしている両親。

私は靴を脱ぎ、リビングの方
から聞こえてくる声に、耳を
傾けた。

「あなた、お願いです
 
 ちゃんと
 話を聞いてください」

「休日の朝っぱらから
 そんな話・・・
 
 俺は、寝る」

「あなた、そんな話って・・・
 サクラにとっては、重大な事
 
 本当の父親を知る権利は
 あの子にはある
  
 あなたも、いづれは話そう
 そう言ってくれていた
 でしょう?
 
 今が、その時なのよ」

机を叩く音が響く・・・

黙り込む母、聞こえる父の声

「サクラは、俺の娘だ」