姫密桜

「ママ・・・」

放れる手・・・

「サクラ
 これだけは言わせて
 
 マキは今、お父さんに
 殴られる痛みに耐えてる
 
 だから貴女も、絶対に
 逃げ出しては駄目

 もう、後戻りはできない
 覚悟を決めなさい」

母の言葉に震えがピタリと
止まった。

私は、真実の想いから
逃げない・・・

「サクラ、待ちなさい」

私は、母の脇を通り
急いで階段を上る。

槇の部屋・・・

開いたままのドアに背を
向けて立つ、父の姿

父の背中・・・

その向こう側に愛する人