姫密桜

父は、私の瞳を見ることも
私に声をかけることもなく
そのまま、二階へと階段を
上って行く。

槇の部屋、槇の元へ・・・

握り締めた拳・・・

「アナタ、お願いですから
 マキに手をあげるような
 事だけはしないでください」

「ああ、分かってる
 
 事情を聞くだけだ」

「さあ、サクラ
 こっちへ」

母に肩を抱かれてリビングへ
向かう私に聞こえる音・・・

ドタドタドタ・・・

父の怒鳴る声・・・

「マキ、お前って奴は
 ・・・」