姫密桜

梓にとって、桜の存在など
この際、どうでもいい。

桜がいない方が、槇の事
独り占めできるもの。

お弁当箱の蓋を開いた梓は
赤、緑、黄色、色鮮やかな
可愛らしい中身に胸が痛む

こんなにも幸せ色で溢れた
お弁当、見たことない。

潤む瞳・・・

これは、母の愛情。

捨てられた私には、無い
母の愛。

玉子焼きを一切れ食べると
涙が溢れてきた。

涙が零れ落ちないように
必死に堪え、長い髪で隠す

「うまいか?」

「うん」

梓は、頷いた。

彼女は、私の欲しいもの
全てを持ってる。

悔しい・・・