姫密桜

「それに、今の俺は学校に行き
 学ぶ事に時間を使うよりも
 一日も早く社会に出て
 自分の力で生活できるように
 なりたいんだ」

槇、何を言ってるの?

揺るぎ無い意志を放つ
真剣な眼差し。

「マキ、あなた
 この家を出て行く気なの?」

母の槇への問いかけは
私が聞きたい言葉
そのままだった。

槇・・・

そんなにも大切な話を
私は知らない。

私、何も聞いてないよ?

「卒業したら
 この家を出て行きたい」

『この家を出て行きたい』

私がずっと抱えてきた不安

『槇が、どこか遠くへ
 行ってしまう・・・』

そんな気がずっとしてた・・・