グレーな吐息~せぴあなタメ息③~


類の姿をかばうように、

自分の方へ抱き寄せながら。

類は、ショックで、何が何だかわからないまま、

悟のスーツのボタンを見ていた。

ドアの外へ出る。

悟はポケットを探って、ハンカチを取り出す。

類は、放心状態で、それをじっと見ていた。


悟がそばに来て、唇の下辺りをぬぐってくれる。

すごくそばにいる悟。


類はやっとハッとした。

血を、拭いてくれてるんだ。

「ごめん。大丈夫」

視界の端に、トイレが写って、類は駆け込んだ。