あ、車の中で、聴いた曲。 でも、もっと、もっといい。 すごいな、あの人。 ああ、もう、何て表現していいのか分からない。 この感じを、ぱくって開けて、悟に見せたい。 どれだけ、自分がすごいか、分かってもらいたい。 「はああああ」 類は深く長く、ため息をついた。 曲が、転調する。 途切れ目なく、次の曲に移ったらしい。 ステージの上にいる悟が、 まぶしく笑ってる。 『類、こっち』 言って、手を伸ばす。