「タイトル言っても分からないよね」
言って、軽く息を吸い込むと、
歌いだした。
力を込めない、優しい声。
こんなに力を抜いて歌っているのに、
恐ろしく、上手くて、綺麗な声で。
何のガードもなかった心に、素直にスコンと入ってきた。
それだけじゃなくて、
その奥底にいたらしい魂を、直接くすぐってくる。
いや、くすぐってるんじゃないな。
揺さぶられてる。
悟さんがこっちを向いて、
歌が途切れた。
少し、乱暴気味に、ブレーキがかかる。
「どうかした!?」
悟が覗き込んでくる。
驚いて、心配されてる。
・・・なんで?
何かが、頬を這う。
無意識にそれをぬぐう。
水滴。
え?
涙?
何で?
あたしの目から伝い落ちたらしい。

