(玲視線)


「おーい、玲くーん」
「もしもーし」
「おーい」


頭をグシグシと撫でられながら、そこから壱葉が動かないように腕の力をさらに強める。

ゔ、とか苦しそうな声が聞こえたけど、
そこはスルーしてみる。




ドクンドクン、ドクン

心臓の音。

「れーいー‥痛いいい」

体に響く声。



「生きてる、ちゃんと。」

「え?」

「壱葉はここにいる。」

「‥うん」






どういう意味合いでその言葉を使ったのか、実際のところ自分でも分からなかった。

ただ、壱葉がここに存在してるのだと、
生きているのだと実感した。




「なあ、壱葉。」

「ん?」

「この先、一生俺だけと付き合うなんて保障何処にもねェじゃん?」

「‥そ、だね」

「何かしらのタイミングで別れるかもしれねェ」

「うん。」

「それに、永遠とかも信じてねェ」

「うん」

「だからさ、その時が来るまでちゃんと俺の隣で俺との幸せ噛み締めてろ。い?」

「うん‥!」






餓鬼の様に、
偽善の愛をばらまき続けた俺も
少しは進歩しただろうか。

何人の女で遊んだ?
覚えてねェやつだっている。

こんなこと言える資格など
俺には無いに等しいけれど、
キス1つで壊れちまいそうな君を
大切だと思ったんだ。



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