「ほら。水樹。朝よ。おきなさい。」
優しく聞こえるお母さんの声。
「お母さん・・・。」
そういって手を伸ばした瞬間、あたしは現実世界に戻った。
「夢・・・か。」
私、藤村水樹。ごくごく普通の中学生。
最近はおかあさんのゆめばかり、みるんだ。
私のお母さんは、1年前、病気で亡くなった。
とても優しいお母さんだった。
だけど、
父は最低な人だった。

私の父は昔から酒癖が悪いし夜はいつも帰ってくるのが遅かった。
そしてついに家の中で暴れまくり、警察に捕まった。
そして父は私とお母さんの通帳から金を抜き出し、
釈放された後、私とお母さんを置いて逃げた。
お母さんは女手一つで私を育ててくれた。
でもそのせいでお母さんは病に倒れ、
1年前亡くなった。
それ以来私は、この一人の家でくらしている。
時々ホームヘルパーさんが来るけど。
さみしくないといえば、嘘になる。
本当はすっごくさみしいんだ。
でも私は強くならなきゃ。そう願わずには居られない。


学校に行く仕度をし、誰も居ない家に
「行ってきます。」
といってでかけた。

いつもどおりに授業を受けて、
いつもどおりに家に帰る。
ここからだ。わたしの波乱の始まりは。

「ただいま~。」
まただれもいない部屋に言う。
いつもなら「おかえり」と笑顔で言ってくれる母の姿があったのに。
やっぱり悲しくなった。
部屋の片隅でうずくまっていると
「こまっているのか?私の婚約者(フィアンセ)。」
ってどこかから声が。
な・・・何??
あたりをキョロキョロ見渡す私。
「ここだ。」
そして真正面を見ると・・・
変な格好した男の子が。
コ・・・コスプレ??
「な・・・何!?」
どーなってんの!?この人どっからきたの!?
「あぁ。しょうかいがおくれたな。私はワード=スカル。
ヴァルバジア王国の王子だ。よろしくな!」
ヴァ・・・ヴァルバジア王国!?
そんな国あるの??
ってゆーかよろしくっていわれても・・・
「な・・・なんでここにいんの??私に何の用!?」