ぶたさんはしばらくボウゼンとしていましたが、ハッとして、近くに人がいなかったか、うさぎさんは大丈夫か、周りの確認をしました。

 どうやら近くに人がいないようだし、うさぎさんも安全みたいです。

 途端に、キンチョウの糸が切れたのか、ぶたさんはその場にヘナヘナと座り込んでしまいました。 幸福の為の行動で誰かが不幸になったとあれば、何の意味もありません。



 うさぎさんは折れた木の方へトタトタと走り寄り、引っかかったままの風船をほどき取ると、今度はぶたさんの方にトタトタと走り寄ってきました。

 血と汗にまみれて泥だらけのぶたさんは、やりすぎたことを怒られるのかな、とビクビクしていましたが、目の前まで来たうさぎさんは、おどろくほどやさしい微笑みを浮かべて、こう言いました。