あれ、どうしてこんなことになっているんだろう。 薬で頭がぼやけているぶたさんは、何度もこのことを考えました。

 たしか、はじめて誰かの手助けをしたのが10年くらい前。 ずっと気持ち悪がられ、さけられ続け、それでも必死に、誰かのために、ぶたさんはがんばってきたはずです。 見返りなんて求めていない。 人の笑顔が、苦しみから解放されたときのあの表情が見たくて、それだけでよかったのです。 あれ、どうしてこんなことになっているんだろう。

 ぶたさんは誰を恨むでもなく、後悔するでも、絶望するでもなく、ただひたすらうつろな頭で「どうして、どうして」と問いかけ続けていました。