恋する乙女



それが幸一との最後。


その後、吹雪が吹いてきて、行方不明に・・・。


あの時、あたしがしっかり止めていたら・・・幸一は、今もここにいたのだろうか・・・。



「ナツ?」



みかるがあたしを心配そうに見ていた。



「あっゴ、ゴメン・・・」



つい、自分の世界に入ってしまっていた。



「なんで・・・泣いてんの!?」



みかるが言って、はじめて気付いた。


自分でもビックリした。


泣いている、という感覚は無かったのだから。


慌てて顔を伏せ、心を落ち着かせた。



「思い出しちゃって・・・」


「うちも言ってゴメンな・・・」



みかるはゆっくり謝った。


友達に気を使わせてしまうなんて・・・。


あたし、馬鹿だ。



「・・・そろそろ戻るか♪」



みかるが元気よく聞いてきた。



「そうだね♪」



あたしも元気よく返事を返した。


フェンスをゆっくりと離れ、二人で教室へと戻った。