恋する乙女


でも、そんなあたしの心配はすぐに無意味なものとなった。


永田があのみかるのキックをすっと避けたのだ。


それには、感心。


へぇ~、やるじゃん。



「ふ―ん、やるじゃん♪」



みかると同じこと思ってるし・・・。


みかるは、すかさずさらにキック。


永田はまた避ける。


が、みかるは軽やかに一回転して、もう一方の足で永田を蹴った。


・・・いや、止められた。


永田は、みかるの足をがっとつかんで、投げ飛ばした。


みかるは吹っ飛び、しりもちをついた。



「てめぇ―!!」



これには、あらゆる人が驚いた。


あの・・・、あのみかるを・・・、投げ飛ばしたぁ!?


みかるが立ち上がり、手にこぶしを作り、突進していった。


もちろん、永田は止めた。


が、その瞬間、ふらりと永田が倒れた。


さゆりが、ほうきで永田の頭をバシッと叩いたのだ。



「さ、さゆり!?」


「お前、やりすぎなんよ!!

 あんた、男やろ?

 みかるかて、一応女の子!

 女子なんやで!

 なのに、手加減せえへんで、最悪や!!」



さゆりがキレているのは、初めて見た。


あんま、怖くないかもだけど・・・。


とそこであたしは、そこであることに気づいた。