ドライヴ~飴色の写真~

「……う~ん。たしか風呂に入って、その後なぎさんが風呂に入って……そこまでだな」

「そこまで!? じゃあ、覚えてないのかよー!!」

「どうした、なぎさん。オレ、なぎさんに何かしたのか」

「いや、何もしてない! 何もなかった!!」

 私がぶんぶんと頭を振りながら答えるのを、篠さんが少し不思議そうな目で見てきやがった。

 なんということだ……。

 でも、これで良かったのかもしれない。

 うん、昨日は何もなかった。

「……うわっ! なんだ、この顔のアザ!」

 うん。何もなかった。

 洗面所から篠さんの声が聞こえたような気がしたが、それさえも私の耳には届いていないことにした。

 だって。そう。
 
 何も、なかったのだから。