ドライヴ~飴色の写真~

 篠さんがゆっくりと顔を上げる。
 目が……トロン、としている。

「なぎさんは……柔らかいな」

 肩に乗せられていた手は、いつの間にか腕にまで下りていた。
 お風呂上がりの私は、よりによってタンクトップ姿だった。つまり、篠さんの手のひらが、直に私の腕を触っているという状態だ。
 熱い体温が、伝わってくる。
 まだ乾き切っていない髪から、雫が胸元に落ちた。少し冷たい。

「……篠さん? ちょっと! 酔ってるんですか」

 普段の雰囲気と違う篠さんに、私は焦っていた。
 なんか……この展開は、ヤバくないか?
 
 いや、そんなこと言って、生まれてこの方、色恋沙汰に無縁だった私が、一体何を調子に乗っているんだか。

 私は、落ち着こうと瞼を閉じ、深呼吸をしようとした。

 そして。その時。私は、唇に生まれて初めての感触を覚えた。

 これって。
 これって。

 噂の。

 例の。