ドライヴ~飴色の写真~

「え、何言ってんの。私より弥生の方が綺麗だし、文ちゃんの方がカワイイだろうが」

 私は頭を掻きながら眉を顰めた。
 弥生の言った意味が全く理解出来なかった。

「本当にあんたは自分のことわかってないんだから……後で、私のメイク道具貸すから、せめて眉毛くらいは描いてよ」

 今度は溜息を吐きながら、弥生が言った。

 文乃は、そんな私と弥生のやり取りを笑って見ていた。

 
 私は、無意識に左上に視線を向けていた。
 人間は、過去の事を思い出す時に、左上を見るらしい。


 ……そういえば、他にも一人、私を綺麗だと言った男がいたな。


 長い髪を指でとかした。
 まだ、若干湿っていた。