ドライヴ~飴色の写真~

「弥生さん、どうされたんですか」

「今日、2時間目、久しぶりに篠さんの教習入ってるから」


 きた。


 弥生は、事務職で配車も担当している。
 つまり、私達が何時間目にどの教習生を受け持つのかも、彼女の手中というわけだ。

「……はいはい。わかりましたよ」

 騒ぐ意味も必要もないと思った私は、大人しく観念することにした。

「ところで、いくらなんでもメイク道具は持ってきてるんでしょうね?」

「あ、忘れた」

 私が言うと、とうとう弥生が怒りだした。

「どんだけやる気ないんだよ! あんた、私達の中で一番綺麗なんだから、ちゃんとそれらしくしてよ!」

 地団太を踏んで、かかとの高いヒールで床を鳴らす、弥生。